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日本経済低迷の理由は何か ~財政・金融政策のせいにしては活路は見いだせない~

最近、コロナ危機への政府の経済対策について、多くの記事やネット上でこのような意見を多く見かける。

  • 規模が小さい、遅い
  • 消費税率引き下げ、または税率0、または廃止すべき
  • 財源は国債発行でよい

1つめはいいとして、2つ目、3つ目はどうだろう。

消費税廃止を訴えるような人の論調はおおむねこんな感じだ。

  • 度重なる消費増税で需要が落ち込んだことが日本経済低迷の原因だ
  • 政府は緊縮財政はやめるべ
  • 通貨発行権があるのだから、国内で国債が消化され、インフレにならない限り、どんどんお金を吸って政府支出を増やすべき(要はMMTを実践すべき)
  • コロナ後に増税なんてとんでもない

(僕はMMTの議論には全く共感できないし、この点は改めて記事にしてみたい)

要は、このような人たちの頭の中では、財政・金融政策がすべてなのだ。

彼らの主張を僕なりにシンプルに図式にしてみると、

需要が足りないのがデフレの原因

→需要を増やすために政府支出を増やすべき(財政政策)

→インフレになってないのだからどんどんお金を刷って財源にすればいい(金融政策)

 

本当にそうだろうか。

下表は一人当たりGDPのランキングだ。改めてみてみると、「Japan as No1」などと浮かれていた30年前が嘘のような状況だ。10位の国の3分の2しかない。

ではその間、日本より一人当たりGDPが大きい国はどうやって成長したのか?財政金融政策がうまくいったから成長したのか?そうではない。

欧州の小国やシンガポールは独自の戦略で人や金が仕組みを作り競争力を高めた。大国の米国も貿易赤字ながらもイノベーションを武器に成長した。中東ではオイルマネーで潤う国もある。

それぞれの理由はここではどうでもよいが、要は「財政金融政策」で成長をしている国はないのだ。

一人当たりGDP 2018年ランキング USドル
1位   ルクセンブルク        115,536
2位   スイス          83,162
3位   マカオ          81,728
4位   ノルウェー          81,550
5位   アイルランド          78,335
6位   アイスランド          74,515
7位   カタール          70,379
8位   シンガポール          64,579
9位   アメリ          62,869
10位   デンマーク          60,897
26位   日本          39,304

 

では日本の低迷の理由は何か。

最大の根本的な要因は「少子高齢化である。言い古されすぎてもはやぴんと来ないかもしれないが、ゆっくりと確実に進むこの問題こそ、日本という病の中核だ。この問題を中心に据えた対策以外は意味がない。

多くの問題が、その根っこに少子高齢化の問題がある。

 

そのほかにも理由はある。その中でも僕が大事だと思っているのは以下の3点。

  • 生産性の低迷:デービッドアトキンソンさんの「日本人の勝算」という本でで衝撃を受けた内容。アトキンソンさんは「規模の小さい(生産性の低い)中小企業に多くの労働者が雇用されていることが問題の本質」、「中小企業は成長を目指して規模を大きくし、時には統廃合をもしないといけない」、「時給1000円ぽっち払えない企業は退場すべき」とも言っている。まさにその通りと思う。
  • 新陳代謝の低さ:(上と通ずるが)「変わること」への抵抗が大きいために退場すべき企業が生き続ける一方で、新しいことに挑戦する風土の低さや失敗に対するペナルティの大きさなどによって新しい企業が育ちにくい。
  • 国際競争力の低迷:高度成長期の自動車産業のような大量小生産モデルだけでは戦っていけない。モノづくりの品質、エンターテインメント、食事のうまさ、おもてなしの文化、など、世界に誇るべきものが数多くあるのに、それを武器にして世界を舞台に戦う企業が少ない。ガラパゴス化と揶揄されるように、日本でうまくいったものが世界では通用しない現象まで起きる。

 

日本経済を立て直すにはどうしたらいいのか?

財政金融政策はドーピングのようなものだ。いずれ限界が来て、むしろ副作用が生じる。

やるべきは、地道に正しく食事をとり、トレーニングに励むことではなかろうか。

少子高齢化対策は効果が表れるのに何十年もかかるが、正しい食事をとるのと同じように、20年後、30年後への投資として地道に取り組んでいく必要がある。

筋肉質な体を作り、「生産性の向上」「新陳代謝の活発化」「国際競争力の向上」に向けて、地道にトレーニングに励んでいく必要がある。

これこそが、日本経済を立て直す王道の処方箋だ。